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『先天性くも膜のう胞』 について

2015.06.23 16:51

プロテスト受験申込時には必ずCTの提出が必要です。
しかし、平仲ジムでは、プロボクサーを目指し入会してきた練習生に対して、早期のCTの提出を義務づけています。
また、CT提出はプロボクサー志望者だけでなく、スパーリングを行うすべての練習生に対して義務付けています。
★それはなぜか?
   それは、本人も気づいていない、『先天性くも膜のう胞』という持病を抱えている場合があるからです。
  たまたま、それまでの人生で大事に至ることがなかったということですが、頭部に打撃を受けるボクシングをするには、リスクが高いのです。
 
★先天性くも膜のう胞 とはどういう病気なのでしょうか?

 脳は内側から、軟膜、くも膜、硬膜に覆われています。
先天的な原因で、くも膜が風船のように膨らみ、中に髄液(ずいえき)などの透明または黄色味をおびた液がたまり、脳を圧迫する病態をくも膜のう胞と呼びます。
くも膜のう胞は脳のあらゆる場所にできます。
嚢胞が大きくならず周りに影響をあたえなければ、ようすをみていきますが、大きくなってくると脳を圧迫し、けいれんや頭痛などをおこすことがあります。
 
一般的に「くも膜のう胞」は、先天性にできた髄液のたまった袋と考えることができます。
【症状】
くも膜嚢胞は、症状なく、頭部打撲などで、たまたまとったCTやMRIで発見されることがほとんどです。発生する場所や大きさなどによって、頭痛やけいれん発作、脳の圧迫による局所的な症状を呈する場合があります。
【診断】
頭のCTやMRIで診断できます。ただし、ラトケのう胞、コロイドのう胞、透明中隔のう胞、松果体のう胞など、他ののう胞性疾患と鑑別が難しい場合もあります。
【治療】
成人で、症状のないくも膜のう胞は、治療の対象とはなりません。小児では、年齢にもよりますが、症状がなくても、脳の圧迫所見が強い場合は治療の対象となります。頭痛やけいれん発作、脳の圧迫による症状など、何らかの症状がある場合、外傷によってくも膜のう胞に出血した場合などは治療を行います。治療方法としては、開頭して顕微鏡下にくも膜を切り取り周囲と交通をつける手術と、同様の処置を内視鏡を用いて行う場合があります。
 参照:東京女子医科大学 東医療センター 脳神経外科
★ 運動の制限が必要か?
くも膜のう胞が大きい場合には、ある程度の運動制限が必要です。ただし、学校での体育の授業は基本的に参加してよいそうです。しかし柔道部やラクビー部に入って練習するのはNGです。
 ボクシングに関しては、頭部を強く打撲する可能性が高いですから、もちろんドクターストップがかかります。


 くも膜嚢胞で実際に困るのは、高所からの転落や交通事故の際の頭部打撲です。硬膜下血腫といって、脳の表面に出血して、血液の固まりができる(血腫)ことがあり、くも膜嚢胞の方はこの血腫ができやすいという説があります。
平仲ジムでは過去2人がCT検査によって『先天性くも膜のう胞』が発見されました。
プロボクサーの夢は実現できませんでしたが、自らの持病が発見されたことでその後の生活においても様々なリスクの軽減に繋がったと思います。
 ボクシングは危険を伴うスポーツです。
練習生の健康状態には常に細心の注意を払っていきたいと思います。

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